◆◆ Canon AE−1 ◆◆




 星が好きで、中学1年から高校3年までを天文クラブに所属しながら楽しく過ごしました。 天文も幅が広く、奥が深い。本を見ているだけで満足していたのが、自分の目でその天体を確かめたくなり、 そのために必要な機材(=望遠鏡)が欲しくなる。さらには“見ているだけ”では物足りなく、 “形=写真に残したい”という順番で欲が進んで行くのが定番のようです。天文好きには写真好きが多いのも 自然の成り行きかもしれませんね。

 私も例に漏れずこの線路を歩みました。ただ、ちょっぴり道がズレていたのは情報収集不足と 勉強不足の所為でした(>_<)・・・これは今でも当てはまるかも# 事前に自分で大手カメラ店へ赴き、いろいろ手に持ってたり話を聞いていたのですが、 最終的にスポンサーだった父と街のカメラ屋へ向かった際、店主の言いなりで買ったのが(買ってもらった(^_^;)?) このCanon AE-1 シルバーボディでした。1984年3月のことです。

←正面


背面→

 ちょうどこの頃、Canonからは新機種のAL-1というカメラが売り出されました。 前機種となるAE-1はいわゆる型落ちだったのでしょうね。しかもこれは AE-1の中でも初期モデルの<プログラム無し>。そのカメラ屋でも 特売品扱いでした。後期型の“AE−1プログラム”だったらもう少し扱いも変わっていたかもしれません。 でも、ここにあったのはただのAE-1、しかも現品限りの品でした。

 さらに不思議な事に、このAE-1のボディについていたのはTEFNONというメーカー製の 80〜200mm f1:4ズームレンズ。このレンズが曲者だと気付いたのは購入後。 レンズは暗い。重い。デカイ。ズームは天体写真に向かない。 レンズ収差が酷い。その上取り付け部分が悪く、ガタガタ動く(-_-)最悪。

 手許に領収書があります。当時この仕様で53,700円。これが高い買い物か安い買い物かは 未だに不明です。一眼レフカメラ、と言う事だけで勉強不足の私には良いも悪いも判断できませんでした。 お調子者のスポンサーである父が、カメラ屋のおじさんと「これでいい、これでいい」とぽんぽん話を進めてしまい、 あっけにとられ、文句も反論も出来ないまま私の元にやって来ました。

 案の定、天文クラブの先輩や仲間たちからはけちょんけちょんにされました。

  • 天体は非常に暗い被写体だから極力レンズは明るいものにするべきなのに、 f1:4なんて暗すぎもいいとこ!
  • ズームレンズは天体写真には向かない!
  • AE-1は電池でシャッターを動かす仕組み。B(バルブ・開放)で何十分もシャッターを開けたまま 淡い星の光を集めて撮る天体写真では、電池の消耗が激しい上に、電池が切れたらシャッター切れないよ!
  • シャッタースピード優先、ってどうよ?使いにくいよー!
  • シルバーボディよりブラックボディの方が価値があるのに・・・
・・・い、いいもん(;_;)私はこの子と共に苦労を重ねて行くもん(;_;) というか、今更引き返せませんって。。
 こうして、私とAE−1とのお付き合いが始まりました。確か1年後にはCanon製の FDレンズ 50mm f1:1.4を購入。TEFNONレンズには申し訳ないですが、断然こっちの方が 質がいいです☆

←上面

 この子=AE−1で天体写真を撮ったのは、実は数えるほどかもしれません。 空が綺麗で空気の澄んだ山奥へと星を見る場を求めますと、当然寒い!夏でもセーターが 欠かせないような寒い場所での電池消耗は半端じゃありませんでした。 大学時代には、星仲間の友人が手製の電池ボックス(単1?の電池を外付けするもの)を貸してくれたほどです。 先輩たちの言葉が身に染みました・・・(._.)その上、本体と一緒に購入したTEFNON製ズームレンズは酷いもので、 画面周りの星がみーんなUFO状に写る始末#天体写真には使えないレンズでした。 というわけで、もっぱら50mmの星野写真ばかり撮っていました。

 そんなAE-1でも、やはり一眼レフカメラ。星だけでなく、スナップ写真も風景写真も、 自分のイメージを表現するには充分楽しいカメラです。国内旅行・海外旅行とも ほとんどを共にしてくれました。ちゃんとメンテナンスに出した事も無く、気付いたときに 拭いているくらいでしかないですが、20年経った今でも(電池さえ換えれば)元気に動いてくれています。 重くてデカイのは相変わらずですが、それでも私の手に馴染んでくれています。 癖もコツもわかっているつもりです。結局何でもそうですが、モノは自分の愛情次第で どうにでもなるものです。オートフォーカスカメラやデジタルカメラが主流となった現在でも、 私が一番楽しく撮れるのは、重くてデカくて古くて、プログラム機能も付いていない このAE-1なのです。自分で光や影を見極め、被写界深度を決め、 シャッタースピードや絞りを考えてドキドキしながらシャッターを押す。イメージした通りに 写真が作品になった時の喜びは、全てこの子が教えてくれました。これからも、あちこちの 旅のお供に、生活のお供に、ず〜〜〜〜〜っと一緒に居ようね♪

←取り外しがとても楽なストラップ金具。 古いけどすごく便利で、とても気に入っています☆

■その他 持っている備品■
曲者TEFNON製ズームレンズ。 もう何年も使っていません#
←カメラバック。確かAE−1を購入したお店で 貰った記憶があります。「いつかはアルミバックに!」の夢はいまだ果たせず。
レリーズと掃除用ブラシ。 バルブで固定撮影する天体写真にレリーズは欠かせません。ほんのちょっとの振動で、 点の星がブレてしまうから。最近は使ってないなぁ。→
灰カイロのセット。 寒い夜の屋外で天体写真を撮る際に、露付き防止の為に灰カイロをカメラに固定します。 最近はこんなことしないのかなぁ?何年振りかに蓋を開けたら錆びてるしー#時代を感じます。


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